子どもが学校を休む日が増えると
「不登校の中学生は、実際にどのくらいいるのだろう」
と気になるのではないでしょうか。
わが子だけなのではと不安になる一方、割合が多いと聞いても、どのように受け止めればよいのか迷うのは自然なことです。
文部科学省の最新の調査では、中学生の不登校は約6.79%、およそ15人に1人です。
不登校は一部の特別な家庭だけに起こることではありません。
ただし、全国の割合が高いからといって、本人のつらさが軽いわけではありません。
数字を「わが子だけではない」と落ち着く材料にしながら、目の前の子どもの状態に合う支援を考えることが大切です。
この記事では、もと中学校教員として35年間勤務し、多くの不登校の生徒に対応し、さらに自分の子ども2人の不登校も経験したkonが、次の内容を解説します。
- 中学生の不登校の割合は約6.79%・15人に1人
- 中学生の不登校の割合は10年で約2.5倍
- 不登校は珍しくないが、みんな「つらさ」を抱えている
- 不登校の割合を知った後に保護者ができる4つのこと
ひとつずつ見ていきましょう。
中学生の不登校の割合は約6.79%・15人に1人

不登校の割合を正しく理解するには、最初に調査で使われている「不登校」の意味を確認する必要があります。
ここでは、中学生の不登校の現状を次の3項目に分けて紹介します。
- 文部科学省の調査で使われる「不登校」の定義
- 2024年度は21万6,266人・1,000人当たり67.9人
- 30〜35人学級なら計算上は約2人
同じ年度の公式データをもとに、数字の意味をひとつずつ見ていきましょう。
文部科学省の調査で使われる「不登校」の定義
不登校の割合を見るときは、「学校を一度でも休んだ子」の割合ではないことを知っておきましょう。
文部科学省は、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒を理由別に調査しています。
そのうち不登校に数えられるのは、心理的、情緒的、身体的、または社会的な要因や背景によって、登校しない、あるいは登校したくてもできない状況にある子どもです。
病気や経済的理由による長期欠席などは、別の区分で集計されます。
つまり、この記事で紹介する人数や割合は、文部科学省の調査上の定義に基づく数字です。
30日未満でも本人が困っている場合はあるため、日数だけで相談の必要性を決めるものではありません。
<参考>文部科学省:「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」用語の解説
2024年度は21万6,266人・1,000人当たり67.9人
令和6年度(2024年度)の中学生の不登校は、21万6,266人です。
文部科学省は、中学生1,000人当たり67.9人と公表しています。
1,000人当たり67.9人を百分率に直すと6.79%です。
さらに人数の比率へ換算すると約14.7人に1人となるため、わかりやすく表すと約15人に1人です。
この数字から、中学生の不登校はごく例外的な出来事ではないとわかります。
ただし、「15人に1人」は全国平均から計算した目安であり、どの学校にも同じ割合でいるという意味ではありません。
30〜35人学級なら計算上は約2人
「1クラスに約2人」という表現は、不登校の規模をイメージするための目安として受け止めましょう。
6.79%を30人学級に当てはめると約2.0人、35人学級なら約2.4人になるからです。
これは全国平均を仮の学級人数に当てはめた単純計算です。
実際の人数は、学校、地域、学年、学級によって異なります。
学さんどの教室にも、必ず2人くらい不登校の子がいるということでしょうか。



全国平均から考えた目安です。各学級の実人数ではなく、不登校が決して珍しい状況ではないと理解する材料にしてください。
「どの教室にも必ず2〜3人いる」と断定せず、身近なところで起こり得ることとして数字を捉えましょう。
<参考>文部科学省:「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
中学生の不登校の割合は10年で約2.5倍


最新の割合だけでなく、これまでの推移や小学生との違いを見ると、現在の状況をより正確に捉えられます。
ここでは、不登校の割合の変化を次の3項目に分けて紹介します。
- 2014年度の2.76%から2024年度は6.79%
- 小学生2.30%に対して中学生は約3倍
- 過去最多でも中学生の直近の増加率は0.1%
増加を不安材料だけにせず、必要な支援を考えるための背景として見ていきましょう。
2014年度の2.76%から2024年度は6.79%
中学生の不登校の割合は、10年間で約2.5倍になっています。
文部科学省の調査では、中学生1,000人当たりの人数が、2014年度の27.6人から2024年度の67.9人へ増えているからです。
不登校の中学生の実人数も、2014年度の9万7,033人から2024年度の21万6,266人へ増えました。
在籍する中学生の総数が変化しているため、実人数だけでなく、1,000人当たりの人数も見ることが重要です。
「最近よく聞くようになった」という印象だけでなく、10年間続いてきた変化として捉えましょう。
数字の増加は、学校や家庭だけで抱えず、多様な相談先と学びの場を整える必要性も示しています。
小学生2.30%に対して中学生は約3倍
2024年度は、小学生より中学生の不登校割合が高くなっています。
小学生は1,000人当たり23.0人、中学生は67.9人で、割合にすると小学生2.30%、中学生6.79%です。
中学生の割合は、小学生のおよそ3倍です。
ただし、この比較だけから「中学校生活が原因だ」と決めつけることはできません。
不登校の背景は、心身の状態、友人や教職員との関係、学習、生活リズム、学校環境など、一人ひとり異なります。
学校段階による差は、家庭や学校が変化に気づき、本人に合う支援を早めに考えるための情報として使いましょう。
原因やきっかけを詳しく整理したい場合は、次の記事で確認できます。


過去最多でも中学生の直近の増加率は0.1%
「過去最多」という言葉だけで、毎年同じ勢いで増えていると受け取らないことも大切です。
2024年度の不登校の中学生は21万6,266人で、前年度の21万6,112人から154人増えました。
中学生の増加率は0.1%で、前年度の11.4%から大きく低下しています。
また、新たに不登校として計上された中学生は8万3,409人で、前年度の9万853人から減少しました。
一方、小・中学校を合わせた不登校児童生徒数は12年連続で増加し、35万3,970人と過去最多です。
人数、割合、増加率、新規の人数を分けて確認し、強い見出しだけで状況を判断しないようにしましょう。
<参考>文部科学省:「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
不登校は珍しくないが、みんな「つらさ」を抱えている


約15人に1人という数字は、「わが子だけではない」と孤立感をやわらげる材料になります。
その一方で、受け止め方を誤ると、本人の困りごとを見落としてしまうかもしれません。
ここでは、数字の受け止め方を次の2項目に分けて紹介します。
- 我が子だけがおかしいのではない
- 「よくあること」だが本人は「つらい」
不登校を特別視せず、同時に一人ひとりのつらさを置き去りにしない考え方を見ていきましょう。
我が子だけがおかしいのではない
不登校になったときに、「我が子だけがおかしい」「育て方が悪かった」と考える必要はありません。
文部科学省も、不登校は取り巻く環境によって、どの児童生徒にも起こり得るものとして捉える必要があると示しています。
中学生の約15人に1人が不登校という割合は、特定の子どもや家庭だけに起こることではないと理解する材料になります。
子どもに一生懸命でない保護者はいません。



どうすればよいか悩んでいること自体が、子どものことを大切に考えている表れでもあります。
不登校そのものや家庭を責めるのではなく、本人が今どのようなことに困っているのかへ目を向けましょう。
原因探しを急ぐより、安心して休めるか、話を聞ける関係が保たれているかを確かめることが先になる場合もあります。
<参考>文部科学省:「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」
「よくあること」だが本人は「つらい」
不登校が珍しくない状況でも、本人が抱えているつらさを「よくあること」で済ませないことが大切です。
全国の割合は不登校の規模を示す数字であり、一人ひとりの背景やつらさの程度までは表さないからです。
たとえば、眠れない、食べられない、強い不安が続く、好きだったことにも関心を示せないなど、生活に変化が現れることがあります。
そのような様子があれば、割合の多さだけで安心せず、本人の話を聞き、学校や適切な相談先と状況を共有しましょう。



珍しいことではないと聞くと少し安心しますが、様子を見ているだけでよいのか迷います。



数字は親子を責めないための材料です。必要な支援は、本人の言葉や睡眠、食事、表情など、今の様子から考えていきましょう。
「我が子だけではない」と落ち着くことと、本人のつらさに目を向けることは両立します。
本人の変化を見ながら、必要に応じて学校、教育相談、医療や福祉などの専門機関へ相談してください。
不登校の割合を知った後に保護者ができる4つのこと


割合を確認した後は、ほかの子と比べるより、目の前の子どもに必要な支援を整理することが大切です。
支援の目標は、登校だけでなく、本人が将来を主体的に選び、社会的に自立できることに置きます。
文部科学省も、学校へ登校するという結果だけを目標にしない考え方を示しています。
<参考>文部科学省:「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」
ここでは、保護者ができることを次の4項目に分けて紹介します。
- 本人の心身の状態と希望を急がず確かめる
- 在籍校と連絡方法や校内の支援を相談する
- 教育支援センターなど地域の相談先を調べる
- 本人の状態と目的に合う学校外の学びを比べる
休養が必要な時期もあれば、校内の別室、公的支援、フリースクール、自宅学習などで学びを続けられる場合もあります。
親子が今取りやすい行動を、ひとつずつ見ていきましょう。
本人の心身の状態と希望を急がず確かめる
最初に、登校できるかどうかより、睡眠、食事、気分、安心して過ごせる時間を確かめましょう。
休養が必要な状態で進路や学習の結論を急ぐと、本人の負担が大きくなる場合があるからです。
「学校へ行けそう?」と繰り返す代わりに、「今つらいことはある?」「話せるときでいいよ」と余白を残して尋ねます。



今は聞かれたくない、うまく言葉にできないという意思も尊重してください。
本人が答えられない時期も認め、まず安心して過ごせる条件を整えましょう。
欠席し始めた時期の接し方を詳しく知りたい場合は、次の記事も参考にしてください。


在籍校と連絡方法や校内の支援を相談する
在籍校の先生とは本人に負担の少ない連絡方法、利用できる支援を相談しましょう。
担任だけでなく、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、校内教育支援センターなどにつながれる場合があります。
保護者だけの面談を検討すること有効な選択肢です。
別室で過ごせるか、課題やオンライン参加をどのように扱うか、自宅や学校外での学習を評価へ反映できるかも確認するとよいでしょう。
すぐの復帰を前提にせず、本人の現在の状態を共有するところから始めましょう。
先生へ何を相談すればよいか整理したい場合は、次の記事で具体例を紹介しています。


教育支援センターなど地域の相談先を調べる
相談先は学校だけではなく、自治体の教育支援センターや教育相談窓口も調べてみましょう。
地域によっては、保護者だけの相談、学習支援、居場所の提供、関係機関の案内などを受けられるからです。
自治体のウェブサイトで、対象年齢、利用方法、開室日、費用、学校との連携方法を確認します。
本人が外出や対面相談を負担に感じる場合は、保護者だけの相談やオンライン相談が可能か尋ねてみてください。
本人がすぐ参加できなくても、親が情報を得ることは支援の一歩です。



相談したからといって、すぐに通所や登校を決める必要はありません。
本人の状態と目的に合う学校外の学びを比べる
学校外の学びは、知名度ではなく、本人の状態、目的、必要な支援量で比べましょう。
フリースクール、オンライン学習、個別支援などでは、通い方、学習内容、人との関わり方が異なるからです。
資料で対象学年、費用、学習内容、通う頻度、進路支援、在籍校との連携を確認します。
見学や体験が可能なら、本人が参加できる状態かを確かめ、難しければ保護者だけで相談する方法もあります。



いきなり見学するより、まず家で写真や資料を見てから考えたいです。



本人が受け入れやすい順番で確かめることが大切です。資料を見る、親だけで相談するなど、負担の少ない一歩から選びましょう。
申し込みを急がず、「資料を見る」「質問を一つまとめる」「保護者だけで相談する」など、今できる行動から始めましょう。
フリースクールの特徴や確認点は、次の記事で詳しく紹介しています。


中学生の不登校の割合に関するよくある質問
- 1クラスに2〜3人いるというのは本当ですか?
-
全国平均の6.79%を当てはめると、30人学級では約2.0人、35人学級では約2.4人です。
そのため「1クラスに2人ほど」と説明できます。ただし、あくまで規模をイメージするための計算です。
すべての学級に必ず2〜3人いるという意味ではありません。 - 年間30日未満の欠席は不登校ではないのですか?
-
文部科学省の統計では、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒を理由別に調査し、その中から不登校を集計しています。
そのため、30日未満の欠席は、この統計上の不登校人数には含まれません。しかし、30日未満なら困っていないという意味ではありません。
登校への強い不安や心身の変化がある場合は、欠席日数を待たずに学校や相談先へ話してかまいません。 - 中学生の不登校の割合は今後も増えるのでしょうか?
-
今後の割合が増えるかどうかを、現在の数字だけで断定することはできません。
小・中学校の不登校は12年連続で増えていますが、2024年度の中学生の増加率は0.1%で、前年度より低下しています。新規不登校の中学生も前年度より減少しています。
今後公表される年度ごとの人数、割合、新規人数を分けて確認する必要があります。 - 不登校でも学校外で学んだ内容は評価されますか?
-
一定の要件を満たせば、自宅でICTなどを使った学習を指導要録上の出席扱いとし、成果を評価へ反映できる場合があります。
ただし、自動的に認められるものではなく、保護者と学校の連携、学習計画、学校による状況把握などの要件があります。学校外で学び始める前に、教材や施設の情報を在籍校へ伝え、出席や評価の扱いを相談してください。
地域や学校の運用を個別に確認することが大切です。<参考>文部科学省:「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
まとめ|割合を比べるより、今の子どもに合う一歩を選びましょう
令和6年度(2024年度)の中学生の不登校は21万6,266人です。
割合は約6.79%で、およそ15人に1人、30〜35人学級なら計算上約2人に相当します。
不登校は、特定の子どもや家庭だけに起こるものではありません。
しかし、珍しくないからといって、本人のつらさや必要な支援が軽いわけでもありません。
全国の割合と比べるより、本人が安心して過ごせているか、何に困っているか、どの程度の人の支援が必要かを見てください。
支援の目標は登校だけではなく、本人が将来を主体的に選び、社会的に自立できることです。
中学校卒業後の選択肢まで見通しておきたい場合は、進路についてまとめた次の記事も参考にしてください。


最初から答えを一つに決める必要はありません。
「親だけで相談先を調べる」「資料を一つ見る」「本人が話せるときに希望を尋ねる」など、今できる一歩を選んでみてください。







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