「朝が来るのが怖い」
「学校のことを考えると気分が落ち込む」
「親から、どうして学校に行けないの、と毎日聞かれるのが辛い」
あなたはこんなふうに思いつめていませんか。
同じように悩んでいる中学生はあなただけではありません。
いじめられているわけでも、勉強が嫌いなわけでもないのに学校に行きたくない、と悩んでいる中学生は実はたいへん多いのです。
この状態が続くと「将来がだめになってしまうんじゃないか」「自分は甘えているだけの弱虫なんじゃないか」と自分を責めてしまい、辛いですよね。
でも、心配しないでください。
あなたは甘えているわけでも逃げているわけでもありません。
あなたが感じている「とにかく学校に行きたくない」という気持ちの正体は、心と体が発信している「休息を取らないと限界を超えてしまいますよ」というSOS信号なのです。
筆者は35年間教員として中学校の現場に勤め、数多くのあなたと同じ悩みを持つ中学生と接して来ました。
その経験からこの記事では以下の内容について詳しく解説していきます。
- 理由がわからないのに学校に行かないのは甘えでも逃げでもない
- 学校に行きたくないのに無理に行くと心身に影響が出る
- 学校に行きたくない理由がわからないときの伝え方
- 学校に行きたくない理由がわからないときは1人で悩まないで
この記事を読めば罪悪感を感じることなく「今は学校を休むとき」と勇気を持って言えるようになります。
まずは深呼吸をして、リラックスしながら読んでみてください。
理由がわからないのに学校に行かないのは甘えでも逃げでもない

「理由がわからないまま学校を休んでいる自分は、甘えているだけなのかもしれない」そんな不安が頭から離れず、何度も自分を責めてしまっていませんか。
はっきりした原因がないと「休み続けていいのかわからない」「将来取り返しのつかないことになるのではないか」 という不安が次々と湧いてきます。
しかし、理由が言葉にできないまま学校に行けなくなることは、決して珍しいことではありません。
Konそれは「心が弱いから」でも「努力が足りないから」でもなく、心と体が限界に近づいているサインなのです。
ここでは、次の3つの視点から、無理をしてまで学校に行く必要がない理由をお伝えします。
- 大きな傷を負ったら休んでいい
- 必要のない戦いは避けていい
- 自分を責めなくてもいい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
大きな傷を負ったら休んでいい
体に大きな傷を負ったら学校を休みます。
傷を負った場所が心であっても休むのは当然のことです。
学校というところは、授業はもちろん行事や部活動もあり、常に集団行動を強いられます。
また、苦手な友達ともつき合わなくてはなりません。
一つひとつは小さく見えても、それらが長く続くと、心のエネルギーが少しずつ削られて空っぽになり、その結果、学校に行けなくなるのです。
文部科学省の調べによると、約7万8,000人の中学2年生が、不登校だと報告されています。
これだけ多くの中学生が学校という場所で心のエネルギーを使い果たし、学校に行けなくなっているのです。



あなたもここまで本当によく頑張ってきました。
理由がわからない、と悩みながら何ヶ月も我慢して登校してきたのです。
今は心の傷をいやすため、まず休息を取りましょう。
<参考> 文部科学省:令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(P24)
必要のない戦いは避けていい
「学校には行くべき」「みんな我慢して学校に行っている」と家族や周囲の大人、友達もそう言うでしょう。
しかし、あなたはそんな考えと戦う必要はありません。
文部科学省でさえ、生徒への支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではない、と通知を出しているのです。
人には、自分に合わない環境や危険を感じたとき、その場から距離を取って身を守ろうとする働きが備わっています。



これは逃げではなく、命を守るために備わった自然な反応です。
中には、HSP(非常に感受性が強く敏感な気質)のように、刺激を過剰に受け取り、優しいアドバイスにさえ傷ついてしまう人もいます。
心がすり減るだけの戦いを続けるよりも、自分が安心して息ができる場所を探すほうが、長い人生においては賢い選択といえるでしょう。
<参考> 文部科学省:令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)
自分を責めなくてもいい
学校に行けない自分を、弱い人間だと責める必要は全くありません。
努力や忍耐力が不足しているという問題でもないのです。
むしろ、学校に行けなくなる状態まで頑張ってきたあなたは、普通の人よりはるかに真面目で努力家だと言えるでしょう。
しかし、自分の本当の気持ちを隠しながら無理を続けると、コップから水が溢れ出るように突然心が耐えきれなくなります。



「どうしてもやる気が出ない」という状態になってしまうのです。
文部科学省の調査でも、中学生の不登校の理由として最も多いのは「学校生活に対してやる気が出ない(32.2%)」であることがわかっています。
もし今「もう少し頑張らなきゃ」と自分に言い聞かせているなら、その言葉は一度手放しましょう。
代わりに「ここまでよく耐えてきた」「もういいよ」と声をかけてあげてください。
<参考> 文部科学省:令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(P3)
学校に行きたくないのに無理に行くと心身に影響が出る


「学校に行かなきゃ」「休んだらもっとダメになる」そう思って無理をすると、体に変化が現れ、次第に心にも影響が出るようになります。
心と体は密接につながっており、心が悲鳴を上げているのに頭で抑え込んでしまうと、体に負担がかかり、取り返しのつかない不調を招く恐れがあるのです。
ここでは、無理を続けると心身にどのような影響が出るのかを具体的に見ていきましょう。
- 体に様々な症状が現れる
- 感情が不安定になる
では、順番に解説します。
体に様々な症状が現れる
行きたくないのに無理に登校を続けると、まず体に不調が現れます。
強いストレスが続くと、体が危険な状態だと判断して自分を守ろうとするため、様々な反応を引き起こします。
これが「心身症」と呼ばれる状態になって表れるからです。
特に朝は頭痛や腹痛がひどくなり、症状が進むと、動悸、喉の渇き、手の震えなどが日常的に出てくることもあります。



これは、体が極度の緊張状態に陥っている証拠です。
また、思春期には自律神経の乱れからくる「起立性調節障害(OD)」を発症しやすく、午前中に活動できなくなることもあります。
このような様々な体の症状は、無理をしているあなたを止めようとするブレーキです。
登校を続けることはアクセルを踏みながらブレーキをかけているようなもので、症状が悪化し回復までに長い時間を要することになってしまいます。
<参考> 国立精神・神経医療研究センター:心身症とは
<参考> 一般社団法人日本小児心身医学会:起立性調節障害
感情が不安定になる
学校に行きたくない気持ちを我慢して登校を続けると、感情が不安定になります。
最初のうちは「もっとしっかりしなきゃ」と思い、立て直そうとしますが、自分ではどうにもなりません。



自分の性格が変わってしまったのかと思うこともあるでしょう。
これは強いストレスが続くと、感情を調整する脳の働きが弱まり、そのために不安や怒りをコントロールできなくなるからです。
たとえば、親のちょっとした一言に激しく怒り出したり、部屋で一人になると勝手に涙が出てきたりすることはないでしょうか。
あるいは、今まで好きだったゲームや趣味に全く興味が湧かなくなる「無気力状態」になってはいませんか。
感情が不安定になっているとき頑張る必要はありません。
まずは「今の自分は限界に近い」と認めることが大切です。
学校に行きたくない理由がわからないときの伝え方


あなたは「学校に行きたくないけれど、理由がないから親になんて言えばいいかわからない」と何回も思ったことでしょう。
理由を言葉にできず誤解されたり、責められたりするのは本当に辛いものです。
しかし、あなたの辛さを理解してもらうためには、勇気を出して自分の状態を伝える必要があります。
ここでは、親に気持ちを伝えるための具体的な方法を3つ見ていきましょう。
- 話せる空気のときに伝える
- 気持ちを正直に伝える
- LINEや手紙で伝える
自分にできそうな方法から試してみてください。
話せる空気のときに伝える
改まった場でちゃんと話そうとする必要はありません。
大切なのは、今なら少し話せそう、と自分が感じるタイミングを選ぶことです。
人は緊張していると、気持ちをうまく言葉にすることができません。



リラックスしているときの方が、短くても素直な言葉が出やすいのです。
たとえば、夕食前後の落ち着いた時間、車で移動したり、コンビニまで一緒に歩いたりしているとき。
こうした何気ない場面のほうが、心のハードルは下がります。
いきなり本題に入るのが怖ければ「ちょっと相談したいことがあるんだけど、今時間ある?」とワンクッション置くのも効果的です。
自分にとって安心できる環境で、感情が落ち着いているときに短く伝える。
それだけで、話さなきゃいけない、という心の負担はぐっと軽くなります。
気持ちを正直に伝える
無理に「もっともらしい理由」を探そうとしなくても大丈夫です。
自分でもわからないことを説明することはできません。



それよりも、自分の今の状態をありのまま正直に伝えましょう。
「いじめ」や「勉強」などのはっきりした原因がなくても「理由がわからないけれど、どうしても辛い」ということ自体が、立派な理由になるからです。
嘘をついて「お腹が痛い」と言い続けると、罪悪感が重なり、さらに自分を追い込んでしまいます。
「学校のことを考えると、胸が苦しい」というような短い言葉で十分です。
心の奥から出てきた正直な気持ちは、ぎこちない言葉でも相手に伝わります。
親もあなたの苦しみの深さに気づくきっかけになるはずです。
LINEや手紙で伝える
どうしても直接話すのがつらいときは、LINEや手紙を使って伝えましょう。



顔を見て話すことだけが、気持ちを伝える方法ではありません。
言葉にしようとすると涙が出てしまったり、相手の反応が怖くてうまく言えなかったりすることもあります。
そんなときは文字で伝えましょう。
文字であれば、自分の気持ちを整理しながら何度も書き直せますし、親の顔色を直接見ずに済むので、冷静に思いを伝えられます。
親も一度立ち止まって内容を読み込み、受け止める時間ができるでしょう。
「直接言う勇気がなかったからLINEで送るね」と一言添えて、今の辛い気持ちを送信してみてください。
あるいは机の上に置き手紙をしてみるのも一つの方法です。
LINEや手紙で伝えることは、逃げではありません。
今の自分を守りながら、気持ちを外に出すための立派な手段です。
学校に行きたくない理由がわからないときは1人で悩まないで


理由がわからないまま悩み続けていると、 「この気持ちは誰にも分かってもらえないのではないか」 そんな思いが強くなってしまうことがあります。
まるで出口のない暗いトンネルの中に閉じ込められたような気分になってしまうかもしれません。
でも、どうか覚えておいてください。
世界はあなたの通っている学校と家だけではありません。
無理に自分を押し殺して合わせるのではなく、自分に合った新しい環境を探すことも答えのひとつです。
世の中には、カウンセラーや公的な相談窓口、フリースクールなど、学校とは違う形であなたを支えてくれる場所があります。
一人で答えを出そうとしなくて大丈夫です。
家族や学校の先生以外の人に話を聞いてもらうことで、言葉にできなかった思いが少しずつ整理され、心が軽くなることもあります。
自分の心を守るために、「誰かに頼る」という選択肢があることを、忘れないでください。
中でもフリースクールは多様な個性を持つところがたくさんあります。
「フリースクールってどんなところ?」「フリースクールの具体的な特徴が知りたい」と思われる方のために、トライ式中等部を例に、こちらの記事で詳しく解説しました。


筆者の体験や調査に基づいた情報をまとめていますので、あわせて読んでみてください。








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