この記事には「心のエネルギー」
などの言葉が出てきます。全てこのサイトで説明していますので、参考にしてください。
また、この記事では
親が先生に相談する
ということを前提に書いています。
子どもが自分の不登校について学校の先生に相談することはほぼありません。
大抵は親から相談を受けて、先生が子どもに話しかけるパターンです。
そのきっかけにするためにも、まずは親が先生に相談するのです。
最初にお断りしておきますが、ここで紹介している「先生に助けてもらう方法」は
不登校かもしれない、
3日から1週間程度休んでしまった、
という子どもさんに有効です。
そして、後半は
不登校になる前に学校と繋がりを持つ方法を書いています。
では、お読みください。
不登校かも。まず先生に相談。その1
できるだけ早いうちに助けてもらう
このサイトでは何回も言っていることですが、不登校への対応はできるだけ早い方がその後の経過も良くなります。
不登校になり、学校に行かない期間が長くなると「心のエネルギー」が倍速で減っていくからです。
「自分は今日、学校に行けなかった」という事実がエネルギーを奪い取るのです。
正規の理由であるはずの風邪やコロナで休んだ時でさえ、学校に登校しにくくなります。
我々大人も経験していると思います。コロナで1週間も休んだら出勤しにくいですよね。
とにかく、不登校と感じなくても自分の子どもが学校に行きにくい、身体的には元気なのに明日休むかもしれない、という異変に気づいた時には遠慮なく、先生を頼りましょう。
これには2つの効果があります。
- 幸い次の日登校できれば、先生たちに気にかけてもらえる。そうすればエネルギーが補充されて登校できる可能性が高まる。
- 登校できなければ、先生に相談しやすい。「事前に相談した。」という事実が親とっては強みになる。
意外に知られていませんが、良い学校の「好循環」は
心配されることがあり、もしもの時のために様々な準備をしたが、結果として何も起きず普通通りにいった。
です。
ですから、「大袈裟に騒いで学校に迷惑をかけてしまった」と考えることはありません。
問題が小さいうち、いえ、「問題が起こるかもしれない」と感じた時点で、その問題を起こさないように親が行動すべきなんだね。
この点は先生にはもちろんですが、親にとっても大変重要です。ぜひ、アンテナを高くして子どもの行動や変化に敏感になってほしいと思います。
不登校かも。まず先生に相談。その2
担任の先生だけではなく学年主任、養護教諭、カウンセラーとつながりを持つ
「中学生が不登校になる原因と不登校のきっかけ8つについて」の記事でも書いていますが、どの先生に連絡を取るかは意外に重要です。
それは子どもが「学校に行きたくない」と考えたきっかけが学級担任や学級の子どもにあるかもしれないからです。
先生といえども人間です。もし、自分に原因があったら対応に前向きには慣れません。
ですから、子どもから事情を聞いたり、日頃の様子を観察していたりした情報から、どの先生に連絡をとったら良いのか考えましょう。
とは言っても「子どもに聞いてもはっきり言わなくて、よくわかりません」とおっしゃる方もいらっしゃると思います。
そんな時は学年主任です。
もしかしたら普段、学年主任という先生は馴染みのない先生かもしれません。しかし、学年主には担任にも管理職にも顔が効く存在です。ある意味ニュートラルな立場なので相談もしやすいのです。
何より、学年主任に相談することによって情報が「学年全体」で共有されることになります。
中学校は教科担任制だからこれは重要なことだね。
担任の先生だけが知っていても他の先生が知らないのでは相談した意味がないからね。
親の方の中には、そこまで大袈裟にしてもらわないほうがいい、とおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、前述の通り、「たくさん心配してもらって結果として普通に過ごす」ことが大事なのです。
ところで、子どもとの話の中で、もしかしたら「先生には言わないでほしい」と言われるかもしれません。
そんな時は学校との連絡のパイプをつなぐ最後の手段として「養護教諭」と「スクールカウンセラー」の名前を出しましょう。
養護教諭つまり保健の先生は生徒にとっては特別な存在であることが多いものです。もしかしたら子どもは「保健の先生になら相談してもいい」と言うかもしれません。
学校には「健康上の問題で相談したい」と断って電話をするようにしましょう。
それからぜひ利用していただきたいのが、スクールカウンセラーです。毎日は滞在していませんが、プリントなどを通して、利用できる日は事前に知らせてあるものです。その名の如くカウンセラーですので、なんでも相談できます。
利用するまではハードルが高いですが、話してみれば「ただのおじさん、おばさん」です。子どもにもそれを伝えていただき、利用を検討してください。
不登校かも。まず先生に相談。その3
目指すところは「次の日に先生から声をかけてもらう」こと。
学校の先生といえども、不登校に対する効果的な方法をいつも持っているわけではありません。過度な期待は禁物です。
しかし、相談したからには何か行動を起こしてほしいものです。
子どもが不登校になるかもしれない、と感じてからの最初の相談の目的は「次の日、子どもが登校できたら、声をかけてもらう」と設定するのが良いでしょう。
ただし、先生も何も情報がない状態で子どもと話をするのは容易ではありません。
ですから、先生に電話をする前には、できるだけ具体的に子どもの変化を伝えるように準備しておきましょう。
できれば短い文章でいいのでメモをしてください。メモをすると意外に色々なことを思い出すものです。家族に手伝って貰えば、さらに情報が得られます。
祖父母がいる家庭なら親が仕事で忙しくても、祖父母がなんらかの情報を持っていることも多いものです。是非聞いてみましょう。
様子が変化したのはいつ頃からか、などということがわかれば学校としても不登校のキッカケがなんだったのかわかる可能性があります。
保護者から相談があれば、子どもに話しかけるときの先生の心構えは全然違うものです。
不登校かも。まず先生に相談。その4
不登校の原因が明らかに学校の中にあると思われる場合は「調査と報告」をお願いする。
不登校のきっかけが、いじめであったり、先生の心無い一言であったり、体罰であったりした場合、親はどうしても感情的になってしまうことがあります。
その場合、学校に電話をするときにも、怒りが言葉に出てしまうことがあります。
気持ちはわかりますので致し方ありませんが、怒りをぶちまけるだけではなんの解決にもなりません。
学校側としても怒っている保護者の場合はまず、
「保護者の怒りをしずめることが大事」
と考えます。
保護者も怒りを表に出してしまうと、いつの間にか「自分のこの怒りをどうしてくれるのだ」という方向に話が行ってしまいます。
このように文字にすると明らかにおかしいですね。最優先に考えるのは子どもを救うことのはずなのに。
それは保護者もわかっているはずなのですが、我が子のために怒っている保護者はそこに気づけないことが多いのです。
ですから、怒りは一旦置いておきましょう。その代わり「このままでは学校への不信感が募る」ということを告げ、できるだけ早い「調査と報告」を求めましょう。
ところで、「自分の子どもが言っていることは100%真実ではない」ということを可能性として覚悟しておきましょう。
自分が子どもだった頃のことを思い出してください。
親に全て本当のことを話していたでしょうか。
おそらく誰もが「いいえ」と答えるのではないでしょうか。
自分の子どもだって同じです。
自分の子どもは可愛いですし、全てを親に話してくれているはずだ、と思いたくもなります。
子どもは「発展途上人」です。どんな利発で聡明な子どもでも、自分や友達を守るために嘘をつくことはあるものです。
それを踏まえて、「調査と報告」を求めるのです。
最初の電話で学校を非難すればするほど、万が一自分の子どもに非があった場合、後に引けなくなります。
それだけは避けてほしいのです。
不登校かも。まず先生に相談。その5
先生と連絡を取る時は時間を考える。
昨今では、ようやく教員の忙しさが世間に認知されるようになってきました。
私も教員でしたのでわかりますが、本当にトイレに行く暇もないくらい忙しいのです。
そんな具合ですから、できれば相談の電話は夕方か、早朝にするのが望ましいと思います。
夕方というのは放課後のことです。終わりの会が終わった後が良いと思います。
ただ、大会前で部活動が忙しかったり、文化祭前で発表の練習が入ったりしている場合は逆に放課後の方が忙しい場合もありますので、まずは電話して確認しましょう。
朝早くに通勤してくる先生ならば、朝というパターンもあると思います。8時ぐらいなら、落ち着いて話を聞いてくれると思います。
また、伝言を頼んで、先生の都合の良いときに親の携帯に電話をもらうのもいいでしょう。
私が教員だったせいもあり、いろいろ書いてしまいました。しかし、「不登校かもしれない」という重大な要件を、親としては一大決心をして電話をするわけですから、先生からはしっかり聞いてもらわなければなりません。
できるだけその電話で効果的に話ができた方が良いかと思い書いてしまいました。お許しください。
不登校かも。まず先生に相談。その6
「いつでも待っている。」「君のことを忘れていない。」「君がクラスに必要である。 」 という状況を作ってもらう
このことはどちらかといえば、先生に心がけてほしいことです。そして、先生なら当然心がけるべきことでもあります。
ですから、親の方からこのようなことをあからさまに頼むことではありませんが、大事なことなので6つ目として書いておきます。
不登校の子どもが久ぶりに登校したときに一番不安なことは、友達が自分にどう接してくれるか、ということです。
- 自分が受け持っていた係はどうなっているか。
- 自分の座席は、ロッカーは、持ち物は、プリントはどうなっているか。
- 給食はスムーズにもらえるのか。
- 元のように会話ができるのか。
不安なことばかりです。
それらを心得てフォローしてくれる友達が絶対に必要なのです。
できれば仲の良い友達にこの役目をしてもらうと子どもは安心します。
可能なら学級のリーダー格の生徒にも手伝ってもらえると助かります。リーダーの生徒が「存在を認めて」くれれば、周囲の生徒も認めるからです。
ですから、久ぶりに登校するときは、前もって必ず先生に連絡しておきましょう。そして、登校に際して面倒を見てくれそうな友達を、出迎えのような形で頼んでもらい、準備してもらうのがベターです。
これらは確認の意味で、親から頼んでおきましょう。
そして、子どもには「先生が○○さんに面倒見てくれるように頼んでくれたって。」と先生が手配してくれたように伝えておきましょう。
これは意外に重要なことで、子どもからすると、「過保護」のように親が全て手配してしまうのはどうしても気がひけるのです。
どうしてこのような心理になるかといえば、「自分のために先生や友達に迷惑をかけている」と思ってしまうからです。
不登校になる子どもはデリケートで繊細です。
他人にとても気を使います。ですから、自分の親が色々な頼み事をするのは、先生や友達に対してとても申し訳なく思ってしまうのです。
ですから、あたかも「先生が積極的に自分の意思で配慮してくれた」ように伝えるのは大事なのです。
不登校かも。まず先生に相談。その7
日頃から学校の先生と交流する。
この記事のタイトルは「不登校になった時先生に助けてもらう方法」です。このサイトに訪れるおおよその人は、すでに子どもさんが不登校の前兆を示している、不登校になってしまっている、という方が多いと思います。
その方々には申し訳ありませんが、7つ目の方法は、不登校の前に、「もし」不登校になったときより速やかに先生に助けてもらうには、という設定で書かせていただきます。
もちろん先生は助けてくれます。しかし、先生にも「助けやすい」と「助けにくい」があります。
では「助けやすい」のはどんなときでしょう。それはその生徒の親や家庭をよく知っている場合です。
よく知ってもらうために、親は日頃から先生とできるだけ話をするようにしましょう。
三者面談の時にしか先生と話をしたことがない、というのではいざというときに先生はなかなか助けられません。
親も先生に相談しにくくなります。
ですから日頃から先生と話をするように心がけるのです。
それは担任の先生である必要はありません。
一番会いやすいのは部活動の先生かもしれません。練習試合、大会、コンクールなどに出る機会があれば積極的に顔を出しましょう。
また、学校によってはボランティアで清掃があったり、挨拶運動があったりすると思います。それにも参加しましょう。
昨今ではPTA活動の是非が問われていますが、負担にならないのであれば、行事に参加し、役員になるのも良いです。やってみれば意外に面白いものです。
「そんなことをしている時間はない」という声が聞こえてきそうですが、「すぐに親ができる10のこと」でも触れたように「全ての時間を子どものために使う」という心構えがあれば、たとえ1ヶ月に1回PTA行事があったとしても(普通はそんなにありませんが)1日2時間程度なら簡単に時間を生み出すことができます。
スマホを見る時間を削り、コンビニに行って小腹を満たす時間を削り、テレビドラマ1回分を削れば2時間という時間はすぐに生み出すことが可能です。 ぜひ、やってみてください。
先生と話をするきっかけは
「どうでしょう、最近うちの子ども」です。
そしてそのときには学校で最近あった嬉しいこと、例えば、「テストが少し良かった」「文化祭で張り切って活動していた」などを伝えられれば話が弾みます。
嬉しいことがなければ小さい悩み事でもいいです。「朝、起きてこなくて・・」でもいいでしょう。
何か話題を見つけるようにしましょう。そして、この「話題を見つける」ことこそが「子どもと向き合う」ことです。普段子どもが何をしているのか、何に興味を持っているのか、アンテナを高くすることで不登校や問題行動の防止にもなります。
この記事の最後にお願いです。
「もと先生である私のお願い」で恐縮ですが、初めのうち先生に話しかけるときは「○○の父(母)です。」と名乗っていただくと助かります。
担任の先生といえども、学期に一回会うかどうかの保護者の顔はなかなか覚えられません。
最近はマスクをしている人が多く、その顔はなかなか覚えることができませんね。
苗字より、「○○の父(母)です。」と子どもの名前を入れてお願いできると助かります。
不登校かも。まず先生に相談。その8
学校の先生に子育てを相談する。
その7で先生と交流する、と書きましたが、その手段の一つでもあります。
学校の先生の中には子育てがひと段落したベテランの先生がいます。学年主任などはこのタイプが多いのですが、その人に子育ての悩みを聞いてもらうことも可能です。
また、子どもが同じ中学生だという先生ももちろんいます。共感しながら相談してもらえると思います。
「不登校かも、」でも書いた通り、親が一人で、または家族の中だけで悩んでいてもなかなか良い方法は浮かびません。
人に話してみることが重要です。その相手として学校の先生ほど適任はいません。
ぜひ、気軽に相談してください。
不登校かも。まず先生に相談。その9
すべてを学校の先生に頼らない。
最後に先生に相談するときの心構えについて書きます。
「先生に多くを頼らない」ことが大事です。先生が「(子どもと)話をしてみます」と言ってくれると安心してしまいますが、それだけで不登校が改善することは、残念ながらまずありません。
不登校の改善は、様々な手立てを取りながら、時間をかけて子どもに心のエネルギーが溜まっていくのを根気よく待つことが大事なのです。
ですから、学校以外にも、相談機関、フリースクールなどを利用して、その中のどれが子どもの心にヒットするのかを冷静に見極めていかなければなりません。
先生はその手立ての中の一つ、という程度の認識でいてください。
不登校かも。まず学校の先生に相談。まとめ
- できるだけ早いうちに助けてもらう
- 担任の先生だけでなく学年主任、ようごきょうゆ、カウンセラーと繋がりを持つ。
- 目指すところは「次の日に先生から声をかけてもらう」こと。
- 不登校の原因が明らかに学校の中にあると思われ場合は「調査と報告」をお願いする。
- 先生と連絡を取る時は時間を考える。
- いつでも待っている。 君のことを忘れていない。 君がクラスに必要である。 という状況を作ってもらう
- 日頃から学校の先生と交流する。
- 学校の先生に子育てを相談する。
- 全てを学校の先生に頼らない。
不登校の前兆、初期的な症状の時に役立つことを書かせていただきました。
後半は「もしもの時に備えて日頃から」というスタンスですが、もし、すでに不登校で学校になかなか行けていない方も、せめて親だけでも勇気を持って先生と交流を持ってほしいと思います。
「子どもが学校に行っていないのに、そんなことできません」とお叱りを受けるかもしれません。
しかし考えていただきたいのです。
不登校になっている子どもさんが再登校しようとするときの心境を。
それは親が学校に行くことの比ではありません。大変な勇気を出して登校するのです。
親御さんも大変だと思いますが、一緒に頑張っていきましょう。