不登校かも、と思う時があります。親としては信じたくないのですが、目の前の我が子が「学校に行きたくない」とある日突然言い出すことがあります。こんな時親はどのように行動したらいいのでしょうか。
結論から言えば、
・本当に不登校の前兆か確認する。
・不登校だと思ったら、親は覚悟を決める。
・親だけで対応しようとせず、速やかに他の人を頼る。
しかし、最初に述べておくことがあります。
これから書くことはマニュアルではありません。「一つの事例」です。
タネを明かせば、うちの子どもたちです。2人いますが2人とも不登校になりかけました。
子供は100人いれば100様です。また、親も100人いれば100様です。これから述べるものに完璧に当てはまることなどありません。
ですから「参考」として、こんな考え方を基本に進めていただきたい、と思って書いています。
どうか、ご了承ください。
また、期間としては不登校かも、と感じてから約1週間、長くても2週間の対応だと思ってください。それ以上に長引いている時は別の対応が必要になります。
不登校のサインかも、親の対応は
不登校のサインと言われても果たしてどんなものなのか、体験した人は「あの時の言葉が、態度がそれだったんだ。」と理解できるかもしれません。
しかし、実は大抵の親はこれに気づきません。
そして、ことが大きくなりいよいよ子供が耐えられなくなると、突然(のように親は感じる)不登校になります。
そもそも不登校のサインは何か
具体的には子供が発する言葉です。
つまり「学校に行きたくない」です。
活字にすると一緒ですが、子供が実際に言うと、不登校のサインの時とそうでない時は明確に違いがあります。
注意して聞いていれば意外にわかるものです。
子どもが「学校に行きたくない」ということはよくあります。
例えば、次の日にマラソン、運動会、テストなどの苦手なものがある場合です。
そのために「行きたくない」と言うのはよく聞く言葉です。そして、子供はその理由を明確に言うものです。「どうして?」と聞けば、「マラソンやりたくないから」と。
こんな場面はたくさんありますね。そして、そんな時親は「わかるー、お父さんもそうだった。」や「何言ってるの。ガンバって行ってこい。」などと気軽に対応するものです。
しかし、マラソンが終わっても今度は「テストがあるから。」とか、「数学厳しいから。」などと、毎日次々理由が出てきて、最終的に「なんとなく」とか「色々あって」などとはぐらかして答えなくなることがあります。けれど、どうも何か言いたそうで、親の前を離れない。
こんな時のサインは見逃してはいけません。
これは「心のエネルギーが不足しているのでなんとかしてほしい。」と訴えているのです。(「心のエネルギー」についてはこちらをご覧ください。)
そして「だったら学校に行かなくていいよ」という親の承認を待っているのです。
もちろん、承認をもらえるとは子供自身も思っていません。しかし「救い」が欲しいのです。
逆にいえば、学校に行きたくない理由が明確にあって、けれどそれには触れてほしくない、という状態です。
本当は救って欲しいけど、親に心配をかけたくはない、と思っています。
そして、「こんなことくらいで学校を休むなんて許されない。」と十分に心得ている場合も少なくありません。
つまり、自分でもこんなことくらいで学校を休むのはありえないと、わかっていても、「心のエネルギー」が足りなくなっているため、どうしても休みたくなっているのです。
「学校に行きたくない」はよく言うけど、親はいつもとの違いに気づかないといけないんだね。
中学生は発展途上の人間だから、どんなに頑張っても表情や雰囲気に出てしまうんだね。
不登校かも。親の対応その1 じっくり話を聞く。
前述したような発言が子供さんからあれば、とにかく親の時間を確保しましょう。そして、じっくりと話を聞きます。
もちろんすぐに聞くのがベストです。けれど、そうはいかないときは、できるだけ早く都合をつけましょう。そして、明確に子供に伝えます。「ごめんね、今手が離せないから、1時間後に話を聞くから。」と。時間も含めしっかり伝えておきましょう。
「行きたくない」と「行きたい(行かなくてはならないとわかっている)けど行けない」は違う。
例え1時間後が90分後になったとしてもこの時点では大丈夫です。
子供が困っているならば、親は「あなたが最優先ですよ」という姿勢を見せることが大事です。話を始めれば、内容的には多分20分くらいです。もしかしたら5分かもしれません。
すでに不登校になっている方の保護者は「そんなわけありません。その日は夜中まで格闘して泥沼でした。」とおっしゃるかもしれません。
私が5分と言っているのには理由があります。
それは、本当に不登校の前兆ならば、子供の言いたいことは、「行きたい(行かなくてはならないとわかっている)けど行けない」だけだからです。
それを聞き出すのに、多くの時間は必要ありません。
子供との対話が長引いてしまう原因は保護者にある
子供との最初の対話が長引くのは保護者の側に理由があります。
認めたくはないですが、保護者が時間を伸ばしているのです。
子供の方は「行きたいけど行きたくない」というまでとてつもない時間を使って悩み、勇気を振り絞って言っています。
保護者に伝えたいことは「学校に行けない」ただそれだけです。
保護者は「行けない理由を探し当てたい」
すると、当たり前ですが、保護者は「どうして」と聞きます。
それに対して子供は答えません。先に書いた通り、理由は2つあります。
- 保護者に心配をかけたくない
- (行けない理由がエネルギー不足の場合)たとえ理由があっても学校を休むほどの理由にはならない、ということを知っている
からです。
この「保護者が理由を聞く、子供は答えない」というループは際限がありません。
場合によっては「どうして答えないの?」という方向に話が向いてしまい、子供を叱責する方向に行ってしまいます。そうすると、その後が大変になります。
不登校を改善する前に、子供との関係を修復する必要が出てくるからです。
最悪の場合にはそのまま関係が改善しないまま、家族の誰かが「ほっとけ!」となり、本当に放っておかれる可能性もあります。
すると、次の日の朝、子供が起きてこなかったり、朝の忙しい時に「やっぱり行きたくない」となったりして、また喧嘩になることも考えられます。
親にとって、理由を聞けないのは厳しいね。
理由が小さくて「これくらいのことでは休めない」とわかっていると、子どもは逆に言えないときがあるんだね。
行ってもらわないと親が困るから
認めたくはありませんが、この心理は間違いなく働きます。
子供がいたら仕事に行けない。または、先走りして、「我が子が学校に行かないなんて世間体が悪い。」その世間体の一つとも言えますが、祖父祖母、それも義祖父義祖母と同居なら、内部にも「言い訳」をしなければならないハードルができてしまいます。
親の対応その1では、自分の子供が不登校になるかもしれない、ということに動じることなく(ここがかなり難しいのですが)じっくり子供の様子を観察しながら話を聞く構えを作ることが大事です。
不登校かも。親の対応その2 子供が本当のことを言いやすいように言葉がけをする。
「その2」は「その1」の続きです。万が一不登校の前兆だった場合、じっくり話を聞く構えができていれば、子どもの様子がいつもと違うことになんとなく気がつくはずです。
しかし「なんとなく」では確認になりませんね。
そこで、本当のことを話しやすくするための具体的な言葉がけを挙げます。
「えっ、行きたくないの?」
「うん」
「どうしたの?」
「なんとなく」
「何かあった?」
「別に」
「けど、行きたくないんでしょ? お父さん心配でさ。理由とかあったら聞かせてくれないかな」
「だから、なんとなく行きたくないの」
ここまで聞くことができれば、「とにかくこの子供は学校に行きたくないと思っている」ということはほぼ間違いないと言えます。
今の子どもたちは
「普通に行きたくない」
という言葉も使うようです。
こんな言葉を聞くと、その言い方自体が大人にとっては引っかかってしまいカチンときますが、そこはグッと堪えましょう。
逆に考えれば「いじめや体罰のなどの特別なことは何もないけど、普通に行きたくない。」とも捉えることが可能だからです。
さらに話を続けることができるようならば、率直に聞いてみるのもいいでしょう。
「学校に行った方があなたのためになると思うのだけれど、それは理解していますか」と。 「うん」と言えば、「行かなければならないけど行けない」と言っているわけです。
ただし、この言い方はちょっと難しいです。
私は自分の住んでいる地区の方言を使って話をしました。方言は使い方によっては微妙なニュアンスを上手に伝えることができるからです。
「行けない」という気持ちを確かめればいいんだね。
きちんと時間をとって、子供のために全身全霊で親身になり、この段階まで聞くことができれば、普段会話している「マラソンがあるから行きたくない」とはちょっと違うぞ、ということが大体理解できます。
そうなったら次の段階「保護者が覚悟を決める」に進まなければなりません。
「どうしたの」は応用範囲が広い
次の段階に進む前に「どうしたの」について説明します。
不登校を始めた子供さんはとてもデリケートです。言葉がけを一つ間違っただけで、後々まで引きずることがあります。
そこで、ここでは親にとって使いやすい言葉「どうしたの」について述べさせていただきます。
この「どうしたの」は様々な場面で使うことができます。
「どうして」は詰問に近いニュアンスで相手に届きます。
しかし「どうしたの」は「私はあなたのことを心配しています」と言うメッセージで届くのです。(私はこれを尾木直樹先生から勉強しました。)
「どうして」は、
「あなた」が「どうして学校に行きたくないか言いなさい」
と「あなた」を対象にした言葉で、詰問されているように感じます。
それに対して「どうしたの」は、
私はあなたに何かあったのか心配している、
という「私」からのメッセージになります。
それだけで子供の受け取り方は全然違います。
この言い方は「I(アイ)メッセージ」というね。トマスゴードンという人が提唱した「親業」が参考になるよ。
「お父さん(つまり私)感激しちゃった!」と言われれば、子どもはお父さんを好きになるね。
ところで「どうしたの」は子供の受け取り方が違うだけではなく、親にとっても心に変化が感じられます。
試しにどこかで使ってみればわかります。
「どうしたの」のという言葉は、使う時に親の方に結構負担がかかるのです。「なんでも相談して、なんでも私が引き受けるから」と言っているように感じ、親としての自分に自信がないとなかなか本心からは言えない言葉なのです。
けれど、その分言われた方は安心する言葉なわけです。
ちなみにその中間の言葉として「どうかした?」「何かあった?」があります。これも場合によっては使える言葉です。日頃から信頼関係ができていれば、結構効果があります。
しかし、ニュアンス、語調によっては子供にとってはさぐられているように感じる時もあります。
また、「聞かせてくれないかな?」という「お願い調」も効果的です。話をするかしないかの決定権を子供に委ねることになるからです。
話してくれればベストですし、話してくれなくても「わかった。言いたくないんだね。」と返すことによって「あなたの意思を尊重している」と伝えることができます。
不登校かも。親の対応その2 念のため確認する
「保護者が覚悟を決める」の前に、念のため次の3つのどれに当てはまるか確認することも大切です。それは
- 発達障害の可能性。
- 人権を無視したようなひどいいじめ、体罰などは本当にないか。
- 心のエネルギー不足か。
かです。この3つは、その後の対応に大きな違いがあります。時には2つ以上が複合しているかもしれません。
この記事で述べる親の対応はどのパターンでも使えるものですが、解決に向けて動き出す場合は、それぞれのパターンで道筋が異なります。
不登校かも。親の対応その3 保護者が覚悟を決める
もし、不登校の前兆と判明したら、保護者は一度ここで「覚悟を決める」必要があります。
本当はこんなきつい言葉でなくてもいいのですが、子供が不登校になった時、変化、対応できないのは実は親なのです。
親は仕事や家事のルーティーンを持っているので当たり前なのですが、不登校を改善しようと動き出すと、大きな負担がかかるのです。
親にとって毎日のルーディーンを変えることはとても難しいものです。ですから「覚悟を決める」と少しきつい言葉を使ってみました。
「覚悟を決める」とは
「覚悟を決める」ということは「マインドセット」と言い換えていいと思います。
マインドセットとは元々心理学の用語で人間が持つそれぞれの「無意識の思考・行動パターン」「固定観念や思い込み」「物事を捉える時の思考の癖」を意味する言葉です。
ビジネスの世界では「考え方の基本的な枠組み」を指し、最近では「ビジネスで成功するためには最初にマインドセットが重要だ。」などと使われるようです。
この文脈での「マインドセット」は、「心掛け」「覚悟」のような意味で私は解釈しています。
お金儲け、会社経営、自己啓発では当たり前のように使われるマインドセットですが、子育てにはあまり使われないようです。
しかし、子育てにこそ「マインドセット」が大事なのではないでしょうか。
「成長型マインドセット」
ビジネスの例を挙げるとわかりやすいと思いますが、ビジネスのマインドセットは「基本的な枠組み」であり、「方法」や「マニュアル」ではありません。
このビジネスを軌道に乗せる、という「意気込み」、不退転の決意でこの事業に賭けるという「本気度」のようなものです。
あるいは、そんなガチガチしたものではなく、優れた先輩方に教えをいただき情報を吸収して柔軟にがんばろう、というものも優れたマインドセットです。
少し長くなってしまいましたが、不登校を改善させるためには親も「マインドセット」をする必要があります。
とは言われても、具体的な例がないとわかりません、と言われる方も多いと思います。そこで、こちらのサイトからビジネスの世界での「成長型マインドセット」をご紹介します。
なお、成長型マインドセットは、理想的な高いレベルのものですので、なんとなく頭の片隅に置いておけばいい、という程度で読んでください。
しなやかマインドセットとも呼ばれ、人間の能力や資質は努力次第で成長させることができるという考え方です。 このマインドセットを持つ人は物事を潜在的に前向きに捉えるので、挑戦する、努力する、粘り強く頑張るといった行動を取ります。
また無理難題に直面した時でも絶好のチャンスと考えることができるでしょう。 成長型マインドセットを持つ人は、問題が解決できなくてもそこから何かを得られることを喜びとし、少しずつ修正しながら前進していく傾向にあるでしょう。
あらゆる時間を子どものためにまわしましょう
不登校と向き合うということは長期戦になることも十分考えられます。
この記事ではそうなる前の手立てを書いていますが、「覚悟」としては必要です。
「学校に行けない」と子供が言った瞬間から、あらゆる時間を使って子供と緊密に向き合いましょう。
しかし、仕事を放り出したり、投げ出したりはしないでください。
ただ、できるだけ仕事を免除してもらいましょう。年休を取れ、という意味ではありません。とりあえず残業をしないで、同僚や上司に訳を話して仕事を増やさないようにしてもらう、あるいは誰かから仕事を引き受けてもらう、ということです。
次に紹介するさまざまな手立てを実行するにあたってはある程度の時間が必要です。
不登校に関する情報を仕入れる時間も必要です。
時には子供に悟られないようにしながら学校に行くことも必要になります。そんな時は時間休みを会社からもらう必要もあるかもしれません。(なお、その時は信頼できる上司に事情を「隠さない」で話をしておくと気持ちが楽になります。)
それらの時間を確保できるようにしましょう、ということです。
仕事も子育ても両立で大変だけど踏ん張りどころだね。
親が本気だ、ということは子どもは敏感に気づくよ。
自分は(親は)ショックを受けているということを自覚すること
子供が不登校かも、と思った瞬間、親は大きなショックを受けます。
そのショックは受け止めましょう。
そして、そのショックを子どものせいにしないことが重要です。
それ以上に子供は悩んでいます。
また、人はショックを受けると誰かにそれを話して受け止めて欲しくなります。
隠そうとせず、あらゆる人の力を借りましょう。
何より先にパートナーや家族の力を借りてください。
そして、家族に自分と同じようにマインドセットしてもらってください。
不登校かも。親の対応その4。「ありとあらゆる有効な手段」をとる。
これもびっくりするような、とんでもないことではありません。
具体的には
・「言葉がけ」
・「他に頼る」
・「隠さない」ことです。
けれど、これが意外に難しいのです。まさに覚悟しないとできないものも多くあります。
言葉がけ
「言葉」はその人のキャラクターに関わるものです。
例えば前述した
「どうしたの。」
「行きたくないんでしょ? お父さん心配でさ。理由とかあったら聞かせてくれないかな」
という言葉だけでも、すんなりと言える人と言えない人がいるはずです。
普段からこのような言葉遣いをしている人はすぐ実践できますが、このような言葉遣いに抵抗がある方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。
そういう意味で、この記事でも具体的な「言葉がけ」を書いていますが、これを実践に移すのは人によっては難しいことです。
ただ、ここでは、一字一句間違えないように話せと言っているわけではありません。
「あなたを攻めているわけじゃないよ。」
「とりあえず理由を言いたくなければ、無理をしなくていいよ。」
「けど、私たちはとても心配しているから、力になれることがあったら言ってほしい。」
「いつでもあなたの味方だよ。」
「あなたのために行動する準備が私たちにはあるよ。」
という意味合いが正確に伝わることが大事なのです。
もちろんこれを一気に伝える必要はありません。少しずつ、いつでも受け入れ可能な姿勢でいることが大事です。
自分のキャラに合わせて、気持ちが伝わる言葉を親が、時間をかけてしっかりとに選ぶ必要があるね。
隠さない
本当の事情を家族や先生、(親の)友達に隠さない、ことが大事です。
この後で先生への頼り方を書いていきますが、その際、情報は正確に伝える必要があります。(原因、きっかけが先生にある場合は工夫が必要ですが・・)
さらに、親の友達に相談をする、愚痴をこぼすということもあると思います。
その時、全てバカ正直に言う必要はないかと思いますが、できれば真実に近いことを言うことがおすすめです。すると、心が軽くなるからです。
本当ではないことを言うと、なぜか後ろめたくなるのです。
本音で相談すると、場合によっては貴重なアドバイスが聞ける可能性だってあります。
もちろん、いつでも自分から積極的に言え、というわけではありませんが、必要となったら隠さず言う、ということです。
他に頼る
不登校は、どちらかの親が一人だけで解決できるものではありません。家族全体で取り組んでも難しい問題です。
必ず外部の協力が必要です。
それを最初に心に留めておくことでその後の保護者の負担は全く違うものになります。
不登校は決して恥ずかしいことではありません。いつ誰がなっても不思議ではありません。
その観点からも「他に頼る」ことはすぐに考えましょう。
「隠さない」「他を頼る」というのは実行に移そうと思うとなかなかできないものだね。
けど、実行すると気持ちがすごく楽になるよ。常日頃から心がけておくといいかもね。
不登校かも。親の対応その5 具体的な言葉がけ
具体的な手段をお伝えする前に、次のことを理解しておきましょう。
子供が「行きたくない」というだけでも相当なエネルギーを使っているということです。
ぎりぎりの線のところで絞り出すように親に伝えたのです。
本当に不登校の前兆の時はそのことを忘れてはいけません。
子供は「自分を守る最終ライン」として「行きたくない」「行けない」と言っているんだね。
これらは表現が幼いだけで、本当は様々なメッセージが隠されています。
- 私の性格からするとあの学校、先生、友達には馴染めない。
- どうしても授業が耐えられない。
- 友達の前の自分は本当の自分ではない、それが嫌。
この辺は次に紹介する不登校のきっかけを見てください。それらのどれかに当てはまるか、近いはずです。それを子供は自分の言葉では正確に伝えられないのです。
または、親にそんなことを言うのは申し訳なくて伝えられないのです。
「行きたいけど、行けないの?」と尋ねる
「そうだ」と言ったら次の言葉です。
この「本当に初期」の段階で「行きたいけど行けない」と言う言葉を子供が認めたら復帰の可能性があります。それは
「なんとか行きたいから、行くのを手伝って」
と言っていることとほぼ同じだからです。
ですから、「お父さんに何か手伝えることはないか?」と問いかけます。何か話してくれれば、それに取り組みましょう。どんな内容であれ、話してくれるだけでも素晴らしいことですし、あなたが(親)頼りにされている証拠です。
「行けないということをお母さんやおばあちゃんにも伝えてほしい」というかもしれません。親の本音としては負担なことですが、それでもそれに「わかった」と真摯に答えましょう。
「自分で考えたいからしばらくそっとしておいてほしい」と言ったら30分くらいはそうっとしておきましょう。とりあえず30分でいいです。
それすらも親としては苦痛の時間ですが、その時間を利用して「親の体制」を整えましょう。パートナーに相談したり、電子書籍で予備知識を仕入れたりするのもいいでしょう。
ただ、書籍も良いのですが、マニュアルとして使うのはやめましょう。目の前の子供はマニュアル通りには絶対に動きません。
「行きたいと思わない」と言った時
「本当に行きたくない!」「行きたいと思わない」「イヤなの!」「どうしていかなくちゃならないの!」など少々攻撃的・反抗的な形で言ってきたらそれは、何か大きなことがあったと推測されます。
いじめ、体罰、SNSの中傷などを疑うことが必要です。
この場合も子供は原因を言いたがりませんが、時間をかけて調べれば原因が浮き上がってくることが多いものです。
さまざまな人を頼りながら情報を集めるようにしましょう。
不登校かも。親の対応その6。「速やかに」学校の先生を頼る
その5まで終わると、子どもに対して、その日のうちに親ができることはそう多くありません。速やかに他を頼りましょう。
頼ることを決めた段階で、親は負担が半分になったような気がするものです。しかも、相手が専門家なら尚更です。
最初は先生でしょう。それまでの中学校生活で子供が話していたことを思い出し、または保護者の口コミをリサーチし、信頼できる先生を選びましょう。
先生だって人です。いろいろな先生がいます。担任に義理立てする必要はありません。一番信頼でき相談しやすい先生に連絡をとりましょう。場合によっては教頭校長でもいいです。養護教諭の先生という手もあります。
一番オーソドックスなのは学年主任かもしれません。行きたくない原因が担任、学級にある場合も多くあります。その時の余計なトラブルを回避するには学年主任あたりがベターなのです。
不登校の原因が「心のエネルギー不足」の場合
まず、子供に学校の先生に相談していいか、聞きましょう。
「あなたが学校に行きたくないと言うのはわかりました。そこまで言うにはそれなりの理由があるんだと思います。」
「けれど、本当は行きたい、と言うことも理解しました。 」
「 お父さんとしてもできれば学校に行って欲しいと思っています。」
「そこで提案ですが、学校の先生に相談してもいいですか?」
と。心のエネルギー不足の場合は子供はエネルギーを補給してほしいと思っています。その相手はまず親です。その次は先生です。時には先生のほうが上に来ることもあります。ですので、この提案は意外に受け入れられます。
うちの2人の子供もそうでした。2人とも学校の先生に相談することを提案し、2人ともすんなりと受け入れました。
先生に相談するときには、子どもの状況と、親が困っていることをはっきり伝えましょう。
先生は家庭訪問してくれるかもしれません。
次の日の朝登校したら話をしてみます、というかもしれません。
そして、それを子供に伝えましょう。先生が優しくしてくれる、次の日自分のために時間を割いてくれる、という事実だけで、とりあえず次の日は学校に行くことが多いものです。
とにかく、とりあえず、先生を頼ることは大事だね。
子供としても先生が味方になってくれれは嬉しいんだよね。
不登校の原因として「明らかに何かあった」場合
心のエネルギー不足ではなく明らかに何かが学校であった場合は、そちらの方面で「覚悟」を決めなければなりません。
ここでも「覚悟」という言葉を使いましたが、何も学校に殴り込みをかけろと言っているわけではありません。
「冷静にしっかり手順を踏んで学校と粘り強く交渉する」ことを覚悟するのです。
まず、最初に子供が訴えていることが「原因」なのか単なる「きっかけ」なのかをしっかり判断しなければなりません。これは重要な問題です。それについては「中学生が不登校になる原因ときっかけ」で説明していますので、そちらをご覧ください。
そして、明らかに原因とわかった段階で先生に協力してもらいましょう。その具体的な流れについては「子どもが不登校になった時学校の先生に助けてもらう5つの方法」(すいません。準備中です。)で解説していますので、そちらを参考にしてください。
ところで、最近はいじめの舞台はSNSに移行しています。
そのことについて、最近の動向で注意しなければならないことがあります。
「SNS上のトラブルについては学校はもう関知しない」という学校が増えてきているということです。
それでもその元の発生場所は大抵学校です。
ですから、学校に頼るのは大切なことです。
また、子供が通っている学校がどの程度関わってくれるのかを確かめる意味でも、学校の先生を頼る事は必要となります。
そして、「何かがあった」と考えられる場合、この一ヶ月の間の子供の様子について家族総出で思い出しましょう。
運動会、体育祭、文化祭、合唱コンクール、テスト、友達関係の変化、塾、
さらにスマホを見ている時間、部屋に閉じこもっている時間、家族との会話の変化、などが特に重要です。
また、学校の先生と似ていますが、意外に保護者が頼りやすいのは、スクールカウンセラーです。
学校にいますが、「守秘義務」と言って本人の許可がなければ、学校の先生にすら話の内容は伝わりません。
欠点としては学校に常駐していないことですが、スクールカウンセラーと話ができる時間は事前に周知されているはずです。
先生とはまた違った立場で何でも話せる方なので保護者としては意外に頼りになる存在です。
不登校かも。親の対応その7。「速やかに」知人を頼る
実は一番有力な手がかりは子供の「友達」です。
親がその友達と連絡が取れる場合、(その場合は、その友達が信頼できる友達と認識している場合が多いでしょう。スポ少、部活、塾の知り合いとか。)連絡が可能かどうか考えてみましょう。
注意すべきは、その友達が不登校と関わっているかどうか考えることです。
もちろんマイナスの方向で関わっている場合は連絡は避けるべきです。
しかし、プラスの力になってくれそうな時は連絡をしてみましょう。
その友達の保護者と仲が良い場合はそちらから連絡を取っても良いかもしれません。
不登校かも。親の対応その8「速やかに」公的機関を頼る
自治体が力を注いで設置している無料の機関ですので利用しない手はありません。
相談ダイヤル
相談ダイヤルが各県、市町村に存在します。そこに電話してみましょう。
利用した親からすると、「電話したけど期待はずれだった」というケースもあります。しかし、それは、その電話で全てが解決する、すぐに有効な手立てが得られる、と保護者が思っている場合も多いものです。
ですから過剰な期待はしないようにしましょう。
大切なことは第三者に「話を聞いてもらう」ことだね。
それだけで全く気分が違うよね。
話しているうちに手がかりや解決の糸口が自分で浮かぶ時もあるね。
余談ですが、「自分で解決策が浮かぶ」というのは大切なことです。
これはカウンセリングの大切な効果の一つなのです。
カウンセリングの基本としてカウンセラーは解決策を与えてくれません。誤解を恐れずに言ってしまえば「当事者ではないので与えられないのです。」
会って話を聞いてくれるところがあれば、そこに行きましょう。
無料でもあって話を聞いてくれるところもあります。上記の相談ダイヤルでそう言ったところがないか聞いてみるのもいいでしょう。
不登校かも。親の対応その9。「子供に公的機関を紹介する。」
相談ダイヤルは、当然ですが子供向けにも開設されています。それを利用しない手はありません。
特に子供が「学校には相談しないでほしい」と言った場合は親としては八方塞がりのように感じてしまいます。
(それだけ学校という窓口は子供がいる家庭には大きなものなのです。)
その時に頼りになるは第三者の機関です。保護者にとっても頼りになりますが、子供にとっても大いに頼りになります。一番困っているのは子ども自身ですから。
最近では通信アプリのラインを使っての相談も受け付けているところがあります。子どもがすでにラインを利用している場合は有力な選択肢です。
しかし、念の為お断りしておきますが、それまでスマホを持たず、ラインをしていない、という場合はこのラインによる相談は選択肢から外した方が無難です。
学校に行かない間にスマホやSNSにのめり込んでしまう可能性があるからです。
不登校かも。親の対応のまとめ
- じっくり話を聞く
- 子供が本当のことを言いやすいように言葉がけをする
- 保護者が覚悟を決める
- ありとあらゆる手段をとる
- 具体的な言葉がけ
- 速やかに学校の先生を頼る
- 速やかに知人を頼る
- 速やかに公的機関を頼る
- 子供に公的機関を紹介する。
最初に書いた通り、この記事で紹介しているのは
「本当に初期の初期」の対応です。
不登校かも、と感じてから1週間、長くても2週間と考えてください。
「速やかに」という言葉を多用しているのはそれを強調したいためでもあります。
行動は早ければ早いほど効果的です。
遅れれば遅れるほど不登校も長引く恐れがあります。
ですから保護者が「覚悟」を決めて、じっくり話をして、冷静に「速やか」に「ありとあらゆる手段」をとって行動する必要があるのです。
子供が感じているエネルギー不足がほんの少しだった場合、うまくいけば、これで登校できるようになることがあります。
その場合、保護者にとって不登校の症状を示した原因はわからないことが多いと思います。「あれは何だったんだろう」で終わってしまうかもしれません。
しかし、「心のエネルギー」という観点から見れば、「親が、自分のことに正面から一生懸命取り組んでくれた」という事実そのものが、子供のエネルギーとなっているのです。それが子供に注入され、元気になって登校するのです。
しかし気をつけなければいけないのは、この不登校の前兆を示した子供にとって心のエネルギーは充分ではないと言うことです。いつ何時エネルギー不足に陥り不登校の症状を示してしまうか分かりません。
それを避けるためには日ごろから心のエネルギーを補充する親子関係を作っておく必要があります。その詳細についてはこちらの記事(すいません準備中です。)で紹介したいと思います。