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中学生が不登校になる原因と不登校のきっかけ8つについて 徹底解説

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今回の記事はズバリ「不登校の原因」です。
子供が不登校になったとき、親が必ず考えるのは「どうしてこうなったんだろう。」「原因は何だろう」です。
この気持ちは非常によく分かります。私の子供が2人とも不登校の兆候を示した時も真っ先にそう思いました。
「なんで?」「何があったの?」
と、子供に問い詰めたくなりました。
しかし、そこは私のそれまでの経験が役に立ち、その言葉をグッと我慢することができました。
いや、ちょっとは聞いてしまったかもしれませんが・・・

実はこの「不登校の原因」は子供に聞かなくても大体わかるのです。
なぜなら、

根本的な原因は
「心のエネルギー」が不足しているからです。

では、詳しく説明しましょう。

中学生の不登校の原因「心のエネルギー」とは何か

その正体は「元気」「やる気」「根気」です。

全て馴染みのある言葉ですね。昨今では「やる気スイッチ」などという言葉も頻繁に使われます。
どれも大切なものですが、その中でも最も根本的なものは「元気」です。

中学生の不登校の原因は「心のエネルギー不足」


「元気」を調べると
「活力の元になるもの」
との記述が見られます。

・元気がないから勉強できない。
・元気がないから遊ぶこともできない。
・元気がないから出かけることもできない。
などと使われます。

不登校はこの延長です。
「元気がないから学校に行けない」のです。

そんな簡単な説明で不登校は語れない、とお叱りを受けそうですが、私が30年間の教員生活と、不登校に関する勉強をしてきた結果をお伝えしています。

あまりにも簡単ですが、冷静に考えていただくと納得できると思います。
不登校の兆候を見せているお子さんは間違いなく「元気がない」はずです。



不登校になり、長期間経過しているお子さんは「元気があるように見えます」。ですから、間違えないでいただきたいのですが、元気がないのは不登校の始まり、その兆候が見えるお子さんです。

学さん

不登校の子供が「元気がない」のは当たり前かもしれないけど、逆の考えもできるんだね。

一緒くん

「元気がない」から不登校になるんだね。


しかしながら、 当然「元気」だけで 不登校を語るわけにはいきません。もう2つ大切な「気」がありますそれが「やる気」と「根気」です。
その2つを調べると、

やる気 進んで物事を成し遂げようとする気持ち・欲
根気 一つの物事を途中で投げ出さずにし続け得る精力

と出てきます。こちらは少しややこしい表現ですね。

学さん

「やる気」「根気」に行くに従って、行動する内容が複雑化、高度化していくようだね。

中学生不登校の原因と関わりが大きい「元気・根気・やる気」についてさらに解説

中学生の不登校を別の言い方で表すと

不登校は「学校で生じるさまざまなストレスに耐えきれなくなる現象」と言えます。

ストレスとは悪い意味に捉えられがちですが、適度なストレスは人をほどよい緊張状態に保ち、成長させる源ともなります。
「苦労は買ってでもしろ」という場合の「苦労」とはこの「ほどよいストレス」のことです。

しかし、ストレスに耐えるためには当然ですが、「体力」が必要です。その体力が「元気」であり「心のエネルギー」です。
心のエネルギーがないと、友人関係、授業、行事、部活動についていけなくなります。ついていけないと感じるだけならいいのですが、「参加もできない」と感じるようになります。
それが不登校の始まりに結びつきます。

学さん

「元気がない」からストレスに耐えられない、は理解しやすいね。

一緒くん

「不登校になる」のはその延長なんだね。

「元気」「やる気」「根気」の関係を詳しく見てみましょう。

それぞれの定義

  • 元気とは
    • 活力の元になるもの、それが溢れている状態
  • やる気とは
    • 進んで物事に取り組もうとする気持ち・欲求
      • つまりやる気があると、人は目標や課題に対して積極的に取り組み、達成のために行動することができるのです。 やる気がある状態とない状態では、物事に向かうときの積極性に差が生まれます
  • 根気とは
    • 一つの物事を途中で投げ出さずに、やり続ける精力


つまり、元気があって、初めて「やる気」が出ます。やる気が起きると「根気」に結びつく訳です。「元気」を土台としたピラミッド構造のようなものと考えられます。

中学生不登校の原因「心のエネルギー「元気」「やる気」「根気」の不足」はどうして起きるのか。

それは、現代が
「人間としての基本的な営み」や「何気ない日常」を送らなくても生活できてしまっているからです。
「ちょっと何言ってるか、わかんない。」状態ですね。

何言ってるかわかんない・・・


わかりやすいように逆の方向から解説したいと思います。
つまり、「元気・やる気・根気」が出る方法です。

最初に「元気が出る方法」です。

  • 晴れやかな天気の日に散歩すること
  • 花が咲いている公園を訪れること
  • 美味しい食事を楽しむこと
  • 自然の中で過ごすこと(山や海など)
  • 家族とのふれあいや会話を楽しむこと
  • 友達と楽しい時間を過ごすこと
  • 好きな音楽を聴いてリラックスすること
  • 好きな趣味に没頭すること
  • 笑えるコメディ番組や映画を観ること
  • 褒められることや成功体験をすること
  • 好きな本を読むこと
  • スポーツや運動をすること
  • 癒し系動物(子犬や子猫など)と触れ合うこと

次に「やる気が出る方法」です。

  • 目標を達成したあとのご褒美を用意しておく
  • 作業をする場所を変える
  • 環境を変えてみる
  • 生活リズムを整えて健康を維持する
  • 好きな音楽を聴いたり動画を見たりしてリフレッシュする
  • マッサージやストレッチをしてみる
  • 仕事・勉強だけではなく運動も取り入れる
  • 作業をする場所の整理整頓をする
  • 新しい・知らない分野に挑戦して視野を広げる
  • 気分転換、きっかけ、ご褒美、リラックス、脳を刺激したりする簡単なハウツー
    目標を持つことそれ自体がやる気を起こす

最後に「根気をつける方法」です。
この根気というのは言うのは簡単で日常的によく使われますが、実はいくつかの要素があります。
1.「目標」
そもそも根気というのは何かをやり続けることが前提ですから、「目標」が必要です。
2.「リフレッシュ」
次に、人はずっとやり続けることは基本的にできないので、「リフレッシュ」が必要です。
3.「環境」
そして、取り組んでいるときの「物理的・人的な環境」が大きく影響します。

ですから、根気をつける方法も、この3つの側面を持っています。

  • 目標達成
    • 他人と競争せず、自分自身と向き合う。
    • 長期的なビジョンを持つ。
    • 目標達成のための報酬を自分で用意し、達成感を高める。
    • 目標達成のための計画を立てる。
    • 毎日の進捗を記録する。
    • 毎日少しずつ進める。
    • タスクを優先順位に従って処理し、達成感を得る。
  • リフレッシュ
    • ストレスを軽減するためにリラクゼーション法を試す。
    • 休憩を取ることを忘れず、疲れを癒す。
    • 自分を健康に保つために運動やバランスの取れた食事を心がける。
  • 環境
    • 周囲のネガティブな影響を避ける。
    • 外部からの干渉を避けて、集中する時間を作る。
    • メンターやコーチを探し、助言を受ける。
    • 周りの人々と共感し、サポートし合うコミュニティを作る。
    • 自己啓発書やポジティブな情報を読む。

この中でも、目標達成のための方法は世の中にたくさんあります。
最近話題になっているのが、大リーグ大谷翔平選手のマンダラチャートです。興味のある人は検索すると出てきますので、ぜひ見てください。

と、まぁちょっと「方法」をたくさん出しすぎたので、戸惑うかもしれませんが、とりあえず「元気」の項目だけ注目していただければ大丈夫です。

よく見ていただくとわかりますが、この章の最初で申し上げた

「人間としての基本的な営み」「何気ない日常」と言えるものばかりです。

意外にこれができていないのです。
特に「散歩」「ふれあい」などは十分ではありません。おそらく最大の理由はテレビやインターネットでしょう。特にインターネットの動画、SNSなどの要因が大きいと思われます。
さらに、「食事」もどんどん簡素化しています。親の仕事の都合もあり食卓の姿はどんどん様変わりしています。

かつて「元気が出る方法」は、実は、生活の必須項目とも言えるものが大半だったのです。

ところで、不登校気味、不登校の子どもさんは「元気の出る方法」を最近しているでしょうか。

「そういえば、小さい頃は外に連れ出して散歩したのに最近は外に出ることがなかった。」
「一緒にご飯を食べていなかった。」
「スポーツもいつの間にか辞めていた。」

学さん

自然と触れ合わない、家族や友人の楽しい時間もない、食事もゆっくりしない、では大人も参ってしまうね。

思い当たる節があるのではないでしょうか。こういった子どもたちはいつの間にか「心のエネルギー」が足りない状態になります。

不登校の原因「心のエネルギー不足」に陥ると「不登校のきっかけ」のダメージが大きくなる。

「不登校の原因」はエネルギー不足ですが、「不登校のきっかけ」と呼ばれるものもあります。後で詳しく述べますが、例えば、ちょっと友達に馬鹿にされたという場合。
エネルギーがある状態なら、やり返したり、他の友達や先生に相談したりします。そしてうまい方法を考え、ダメージを最小限にできるのですが、エネルギーがないとそれができません。

ダメージを直接受けてしまうので、ショックが大きくなります。ましてや人生経験がない中学生は「初めてのこと」にたいへん戸惑います。そして「もう学校生活は終わった」とさえ感じてしまいます。

言葉を変えて言えば、心のエネルギーがないと、「傷つきやすい」「デリケート」「ナイーブ」な子供になります。

百戦錬磨の大人たちは「半年我慢すればなんとかなるだろう」と思いますが、発展途上にある中学生はそうは思えません。ましてや「半年」などという時間は中学生にとっては永遠に近い時間です。

学さん

大人になると昔のことは忘れてしまうのかな・・・?

一緒くん

子どもにとって「半年」は考えられないくらい長いよ。半年我慢するなんて耐えられないね。

不登校の原因「心のエネルギー不足」が先か「不登校のきっかけ」が先か。

ここでみなさんは質問があるかもしれません。
「エネルギーがなくなる」のが先か、「きっかけ」が先か、という問題です。

これは、状況によって、その子どもが陥った状態によって違うでしょう。たとえ、エネルギーが十分あっても、ひどいいじめのように学校のストレスが耐えられないほどのものであったならば、それはじわじわと子供のエネルギーを奪い、最終的には「不登校の原因」になるからです。

中学生不登校の原因について 心のエネルギーって補充できるのか。

ここでまた質問があると思います。「エネルギーってどうやって貯めるのか」です。
ため方、やり方そのものは意外に簡単です。

上記に示した「元気が出る方法」を実践すれば良いのです。

もちろん、「やる気」「根気」の方法も試してくださっても良いのですが、みていただくとわかるとおり、こちらの2つの方法はハードルが高いものが多いのです。
ですから、「元気の出る方法」が一番取り組みやすのです。

また、エネルギーは「注入」もできます。つまり人から与えてもらうことができるのです。
わかりやすい例で言えば、
「大谷翔平選手のプレーを見て元気をもらう」
というものです。

「じゃあ、大谷選手の番組を見せれば良いのだな」と考えるかもしれませんが、不登校の子どもにとっては難しいかもしれません。

例えば、野球がものすごく好きだったけど、その野球部でのトラブルが不登校のきっかけだった、という場合、野球からはひいてしまいます。
また、何よりも不登校の子どもさんは「生き生きと活動している人」には引け目を感じることが多く、そう言った人に会ったり見たりすることは好まないことが多いのです。

ですから、通常不登校の子どもさんに働きかける場合は、「元気付けているとはあまりわからないやり方」で元気付ける必要があります。

これらについては不登校を改善するために「不登校を改善するために すぐに親ができる10のこと」で紹介していますので参考にしてください。

中学生不登校の原因に関わる「心のエネルギー」という言葉について。

ここまでの解説は中学教師を30年以上勤めてきた上での私の意見ですが、その土台にあるのは認知行動療法、アドラー心理学です。

実は「元気」「やる気」「根気」とは
アドラー心理学で言えば「勇気」
であり
認知行動療法で言えば「健全な認知から生じる健全な行動」です。

前述した「元気づける」というのもアドラー心理学で言えば「勇気づけ」と言われるものです。

詳しくはここで論じませんが、興味のある人はぜひ勉強してみてください。特にアドラー心理学は入門書もたくさん出ていますので、わかりやすいと思います。

中学生不登校の原因を突き止めることはあまりしない方がいい。

親は不登校の原因を突き止めようとします。

親である限り当たり前の行動です。しかし、不登校は心のエネルギー不足の状態、ということを理解して貰えば、不登校の原因を突き止めることはあまり意味がありません。

この後述べる「きっかけ」はあるかもしれません。子供はそのきっかけをあたかも「原因」のようにいうこともあります。

それは、大抵の場合、保護者が安心するからです。保護者が原因を欲しているので、「きっかけ」を原因として言ってしまうのです。

学さん

親にとっては耳が痛いね。

一緒くん

親は自分が納得する答えが欲しいんだよね

その点を理解しておかないと、問題が拗(こじ)れることがあります。それは、保護者がその「きっかけ」を振りかざし、学校や当事者に詰め寄る場合です。

「いじり」を例に挙げましょう。心のエネルギーが失われている時にはこの「いじり」を「いじめ」と受け取られる時が多々あります。これはいじめの定義から言えば正しいことです。「本人が嫌だと思えばそれはいじめ」だからです。

けれど、「学級や集団が健全」な場合、「いじり」は通常、潤滑油のような働きをします。その生徒を「いじる」ことによってその生徒を表舞台に出し、程よく存在感を出させるのです。

これはテレビのバラエティを見て貰えばわかると思います。
司会者が芸人を「いじる」ことによって場が盛り上がり、その芸人もまた「仕事」になるのです。

もちろん生徒は、いじられることが仕事ではありません。

しかし、いじられることによって「集団に所属」できます。この「集団への所属」という欲求は実は非常に強い欲求です。アドラー心理学の本には「所属感が失われた場合、最悪自ら命を断ってしまうことがある」と書かれている本すらあります。

そういう意味では、適度にいじられることは悪いことばかりではないのです。

しかし、心のエネルギーが低いと、この「いじり」に耐えられなくなります。

「いじり」が「いじり」として成り立つには、いじられた生徒がなんらかのリアクションをしなければなりません。それが、気の利いた面白いものなら、一気にその生徒は人気者になります。
しかし、いじりに耐えられない場合はリアクションができません。
黙ってしまう、逃げてしまうことがよくあります。
途端に「いじり」は「いじめ」に変容します。

さらに、リアクションができない子供は、いじった生徒を睨んでしまう、時には暴力に訴えてしまうこともあります。どうしたら良いかわからない場合、防衛策としてそのような行動に出てしまうのです。

特に暴力の場合は話はややこしくなります。「暴力は振るった方が加害者」からです。

誤解を恐れずに言えば、この「いじり」は通常どうやってもなくなりません。友人関係の潤滑油としていつの時代も必要だからです。

ですから、この「いじり」を「いじめ」と認識している場合、それはなかなかなくならないのです。
もちろん先生から言われれば、その生徒をいじることはしなくなるでしょう。しかし、「全てのいじり」をやめるということは、中学生にとって「その生徒との付き合いをやめる」ということとイコール、とまではいかなくてもそれに近い状態になります。

「あの人と話すと「いじめた」と受け取られる」と他の生徒は学習するからです。

たとえ、話をしても腫れ物に触るような感覚で話をすることになり、近づきにくくなるのです。
ですから、保護者が子どもに「いじめはもうないから学校に行くように」と言い聞かせ、無理やり学校に行かせても、結果としていじめを訴えた生徒は学級の中で浮いてしまいます。
すると、今度は「みんなが私を嫌っている」と感じてしまい、不登校に逆戻りするのです。

話が色々な方向に逸れてしまいましたが、保護者が「いじめがなくなれば学校に行ける」と安易に思い込むと、問題がややこしくなるのはこのためです。

学さん

「きっかけ」なのか「原因」なのかは判断が難しいかもね。

一緒くん

どうしたらいいのかな

学さん

まずは冷静に学校と話をすることだね。先生は生徒のことを見ているから、何があったのか大体わかるよ。

実は子供自身はこれらのことを直感として理解していることが多いです。
親が学校に「いじめをやめてほしい」と言いに行くことを、子供があまり喜ばないことがあるのはこのためです。
それどころか、かんの鋭い子供は自分が学校に戻りにくくなるということすら直感で理解しています。

これはいじめに限ったことではありません。この後に紹介する「きっかけ」は全て当てはまります。

この記事ではそれを認識してもらうために「原因」と「きっかけ」を区別して書いています。

繰り返します。不登校の「原因」が心のエネルギー不足なら、「きっかけ」は単にきっかけであり「原因」ではありません。ですから、この後述べる「きっかけ」を排除してもらうよう学校にとことん追求することはあまりしないようにしましょう。

ただし、大事なので書いておきますが、人権を無視したようなひどいいじめ、体罰のある部活動に耐えられない、というような、明らかに「原因」と言えるものならば、保護者は断固としてそれに立ち向かうべきです。
ですから、そういう意味で「きっかけ」と思われるものをよく調べることはとても大切です。

中学校不登校の「きっかけ」

不登校になるきっかけというのはたくさんあります。
この記事の最後に、その代表的なものを8つ挙げてみたいて思います。

通常は「原因」と呼ばれるもことが多いものばかりですが、本当に「原因」なのか単なる「きっかけ」なのかを区別していただくためにも一度読んでいただければ幸いです。

いじめ

不登校の原因としてカウントされるのはおそらくこれが一番でしょう。そしていじめは何がきっかけで起きるか予想がつきません。具体的に挙げるなら、次のものでしょう。

可愛い、美人、親が有名、兄弟が優秀

言いがかりに近いですが、十分きっかけになります。妬みがいじめに変化するということはよくあることです。

先生の一言

何気なく言った先生の一言、というのは残念ながら時々あることです。その先生が先生として未熟な場合、これが起きてしまいます。先生としては「いじり」のつもりで言っているものでも、友達が言うことと先生が言うことではその重さに天と地ほどの違いがあります。それに気が付かない教師も残念ながらいるのは事実です。

番長に目をつけられる

番長とは時代錯誤な言い方ですが、集団である限り、リーダー的な生徒は必ず存在します。人間ですから「馬の合わないヤツ」はかなずいます。たまたまリーダーが「あいつとは馬が合わない」と感じ、それを表に出すことがあれば、「目をつけられる」となります。

学級、学年の構造的な問題

学級崩壊などが起きている場合はいじめは当然起きやすくなります。人間として発展途上の中学生は、想像力が育っていないため、いじめた結果何が起きるかよくわかっていません。また、道徳も十分ではありません。それが学級崩壊に拍車をかけます。その時面白い、その時エキサイティングであれば良い、という刹那的な楽しみの方向にエネルギーは向かってしまうのです。いじめもその中に含まれるのです。

「いじり」がこじれてしまう場合

前述した通りです。

反応が面白い、とからかわれる

学級にイベントがないと、生徒たちは暇になります。するとイベントを探し出します。反応が人と違う生徒はターゲットになりやすい傾向があります。
最初はからかわれることで集団に所属している子供もやがて苦痛になりいじめられていると感じるようになります。

学さん

こうしてみるといじめって多様なんだね・・・。

SNS

これもいじめの一種ですが、形態が非常に特殊で、それでいて現代のいじめの代表的な形ですので抜き書きをしました。

このSNSのいじめは子供の「心のエネギルギー」をあっという間に奪ってしまいます。
これまでのリアル世界だけのいじめなら学校を離れればいじめからも逃れることができました。

しかし、SNSはどこにいてもどこまでもその子供を追い詰めます。

そしてさらに悪いことにはSNSのいじめの対象になる子供は、その子供自身がSNSから離れられなくなっていることも多いのです。

スマホから離れられないが、スマホがある限り心を蝕まれるのです。これは大変厄介な問題で、解決が難しい問題です。

部活動

部活動は 生徒の学校生活の半分を占める大変大きな活動です。小学校から中学校に進学する時、常に話題になるのは部活動と言う事からもその重要性がわかります。

実際に部活動ほど長時間毎日行われるものはありません。しかも土曜日・日曜日の休日にも長時間行われるのです。
これほど大きな部活動に拒否反応を示すことがあれば、それは十分不登校のきっかけになります。

そして部活動というものはなぜか、教育活動からは少し離れたものとして保護者や社会が見てしまうことがあります。

つまり、「少々理不尽なことにも耐えるのが部活動だ」という認識です。

  • 先輩後輩の関係を大切にする縦社会だ。
  • 辛い練習にも耐えなさい。
  • ミスしたら叱られるのは当たり前。
  • 負けた責任は連帯責任である。


などです。確かにそういう側面も大事ですが、保護者がこういった価値観を強く持っている場合、部活動に耐えられなくなった子供に対して「意気地がない」「我慢強くない」、という反応になります。このような時は子供は部活動が苦手だという訴えを出しにくくなります。

行事

社会見学や修学旅行

これにはいくつかのパターンがあります。

班が嫌、という場合。
社会見学などはどうしても班行動です。班の中に苦手な人がいる場合、学校に行きたくない、最悪の場合社会見学そのものを欠席してしまう、ということもあるかもしれません。
また、行き先でトラブルが発生するパターンもあります。例えば、道案内を間違った、テンションが上がりすぎて喧嘩になってしまった、などです。

文化祭
最大の行事の一つなのですが、トラブルもつきものです。

出し物で嫌な役を押し付けられた。
誰もやりたがらない実行委員にされた。

また、ダンスが上手く踊れなかった、歌が下手。

などで馬鹿にされてしまうこともあるかもしれません。また、合唱コンクールで張り切ってピアノ伴奏を引き受けたが、当日うまく弾けなかった、などもよくあります。


一つ一つは心のエネルギーが十分であれば、なんとか乗り切れるものばかりですが、そうでない時は不登校のきっかけになってしまいます。

友達

それまで仲の良かった友達とのちょっとしたトラブルが不登校のきっかけになってしまうこともあります。

中学生は残念ながら人間としては発展途上です。社会的なマナーも十分には持ち合わせていません。ですから、「仲が良い」と思い込んで「わがまま」「常識外れ」をゴリ押しすると思わぬトラブルになります。

仲が良いからと断らないで物を借りる、「まぁいいや」と思ってちょっとした約束を守らなかったなど、トラブルのきっかけは日常生活に意外に多くあるものです。

学習についていけない

これはいつの時代の生徒にも、どの生徒にも変わらない悩みです。

私が教員時代に先輩から言われた言葉に「6時間椅子に座って授業に出てみなさい。生徒は毎日それをしています。」というものがありました。

教師を含め大人は「学生なんだから当たり前」と思ってしまいますが、訳がわからない授業に6時間毎日出ることは苦痛以外の何者でもありません。生徒は本当によく頑張っています。

そこに「先生から指名されて答えられないと怒られる」とか「点数が低いと親に叱られる」などがあったら、生徒にとって授業はまさに苦痛となります。

勉強できすぎ

これは2つのパターンがあります。

一つは本当にそのまま「天才のように授業がわかってしまう場合」です。
これは前述の「学習についていけない」の逆ですが、同じ理由で、面白くない授業に6時間毎日縛られるのは苦痛になります。さらに、このような生徒の場合、できない子どもの気持ちが分かりませんから、他の子供に対して、馬鹿にしたような態度を取ることがあります。すると、それがいじめにつながる場合もあります。

もう一つは「努力してできているパターン」です。
このタイプの子供は良い点数を取るために大きいストレスを抱えていることがあります。親の期待、自分のプライドいろいろあるでしょう。ですから、突然「できない」ということが起きたりすると、ひどいショックを受けることがあります。天才型ではないので、学年が進むにつれわからないことも多くなるのは当たり前ですが、それに耐えられなくなる訳です。

大人になりすぎてる

これは「勉強できすぎの天才パターン」と同じです。他の子供たちのやっていることが幼く見えてしまい、中に入っていけないのです。天才型と同じく見下すような態度を取ることもあるでしょう。

それが、いつの間にか他の子供にとって疎ましいものに見えてしまいます。
そして、この「大人な子ども」自身は「みんなは幼稚で子ども。私が正しい。」と思っていますから、自分から集団に迎合することはあまりありません。
結果として浮いてしまうのです。

ここに書いた8つのことは、誰にでも起こりうることです。

ここに書いた8つきっかけは、規模の小さいものならば、小さい悩み事として日常的に発生しています。私たちは、それを通常「ストレス」と表現しています。

前述しましたが、この「ほどよいストレス」は人を成長させる源となります。
「ほどよいストレス」があってそれを乗り越えるために、悩み、努力、工夫する訳です。

そして、誤解を恐れずに言えば、さまざまな価値観を持っている子どもや教師が数百人も集まっている学校はストレスだらけで、その学校には「そのストレスに出会い、それを乗り越える訓練」のために行っているようなものです。

もちろん学校は将来に必要な学力をつけるところですが、「人間関係の予備校」的な側面も大きいのです。

まとめ

  • 不登校の原因は「心のエネルギー不足」である。
  • 「心のエネルギー」とは「元気・やる気・根気」である。
  • 「心のエネルギー」は補充できる。家族や友達からもらえるし、自分でも補充できる。
  • 不登校の「原因」と「きっかけ」は違う。
  • 不登校の「きっかけ」は誰にでも、いつでも発生する。「ストレス」と言い換えても良い。
  • 「ほどよいストレス」は人間を成長させるが、「心のエネルギー」が少ない状態だと不登校のきっかけとなる。
  • 不登校になった子供に「原因」を問い詰めることはあまりしない方が良い。
    「きっかけ」を「原因」のように言ってしまうことがあるから。
    親が学校に乗り込んで「そのきっかけ」をなくすように頼み込んでも不登校改善には結びつかないことが多い。
    (ただし、体罰、人権を無視した、明らかないじめの時は保護者が本気で学校に立ち向かう必要がある。)